派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~
 そこに携帯のものらしき番号を書き付けてくる。

「番号、携帯に登録するまで、トイレに行っても手を洗うなよ」
と渚は無茶を言う。

「絶対かけて来いよ。
 ……絶対だぞっ。

 かけて来なかったら、末代まで祟ってやるからな」
とその綺麗な顔で脅すように見下ろしてくる。

 いや、あの、貴方の子供を私が産むのなら、呪われるのはその子じゃないですかね、と思ったのだが、恐ろしくて言えなかった。

「非通知と公衆電話、あと、人の携帯からかけてくるなよ」

 ひいっ、読まれてるっ。

 番号を知られたくないから、そうしようと思っていたのだ。

「あ、あのー、今はお暇ですか?」
と問うと、冷ややかに、

「仕事中に暇なわけないだろ」
と言ってくる。

 いや、ごもっとも……。

「どうした?」
「いえ、お暇なら今から一緒に来てくだされば、そんなまどろっこしいことをしなくても、すぐに返せるんですが、160円」

 だが、ぼんやり備品倉庫に居たようなのに、いや、忙しい、と拒否してくる。
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