派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~




 秘書室、緊張するなあ、と思いながら、蓮は、秘書室のドアを叩いた。

「はーい」
と女性の声がする。

 秘書の浦島葉子(ようこ)が顔を覗ける。

 如何にもやり手秘書、といった感じのキリリとした美女だ。

 最初は厳しそうな人だと思ったのだが、話してみると、意外に気さくだったので、たまにエレベーターや社食などで会うと話すようになった。

 葉子は、蓮より二つ上らしい。

「あら、蓮ちゃん」

「これ、脇田さんに頼まれたクリアファイルです」

「ああ、ありがとう。
 あ、脇田さん。

 秋津さんが持ってきてくれましたよ」
と葉子は蓮の後ろを見る。

 ちょうど、エレベーターから脇田が降りてくるところだった。

「ありがとう、秋津さん。

 そうだ。
 あのあと、備品倉庫を覗いてみたけど、誰も居なかったよ」

「えっ?」
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