派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~
「そりゃ、お前の親がそうだったってだけだろ。
 まあ、俺も親の顔はあまり見たことがないが。

 俺の学校の友達のとこでも、普通に家に居る親も居たぞ」
と言う。

 まあ、それはそうなのだろうが。

「だが、俺が父親になったら、お前の父親と大して変わらない親になるかもな。

 でもな、蓮。
 離れていても、あんまり子供に会えなくても、俺は、お前も、お前が産むだろう俺の子供もちゃんと愛してるぞ」

 まだ出来てもいない子供も含め、愛情を持って渚はそう語る。

「だから、お前の親も、普通にお前を愛してると思う。
 お前の結婚相手を勝手に決めたのだって、きっと、それでお前が幸せになると信じたからだ」

 やっぱり知っていたのか、と思った。

「……どんな男なんだ?」

 渚にしては、奥歯に物が挟まったような訊き方をしてくる。

 だから、笑ってしまった。

 どんな風に話そうかと思っていたのに。
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