派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~
「秋津会長の直系のお孫さんとはね」

「うち、兄も居るんですけど。
 放蕩して飛び出して、私にお鉢が回ってきたっていうか。

 和博さんの父親は、お爺様から見て、次男になるんですけど。

 そのおじ様たちも、私と和博さんを結婚させたら、我が息子が後を継げるかもと言うので、押せ押せなんです。

 でも、なんで、脇田さん、徳田さんからその話聞いたんですか?」
と言うと、脇田が、えっ、という顔をする。

「徳田さんって、自分から余計なことを話しそうにはない方ですが」

「それは……」

「脇田ー、そろそろ行った方がいいんじゃないか?」

 突然、渚が話を遮る。

 あー、そうだねー、とよくわからない誤魔化し方を脇田はする。

 渚さんがなにか言って、脇田さんが徳田さんに電話したとか?

 私の家のことを調べさせようと?

 いや、渚さんは、早くから知ってたみたいだった。

 じゃあ、なにを? と口では敵いそうにない渚ではなく、脇田を見る。

 じーっと脇田を見上げていると、目をそらされた。

「……ごめん、秋津さん。
 見つめないで」
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