派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~




 マンションの外で待っていてもらうのもなんだか変なので、結局、脇田に部屋までついてきてもらうことにした。

 鍵を開けているとき、ちょうど隣の奥さんと出会ったので、にこやかに挨拶をする。

 先にその奥さんは入っていってしまったが、脇田が気まずそうに、

「あのー、外に立ってる方が誤解を呼びそうなんで、入ってもいい?」
と言ってきた。

「いいですよ。
 どうぞ。

 すぐ持ってきます。

 あ、お茶でもどうですか?」
とドアを開けながら、蓮は言った。

「いいよ。
 秋津さん、晩ご飯食べるんでしょ?」

「そうだ。
 脇田さん、ご飯食べられました?」

 どうぞ、と中に通しながら言うと、
「まだだけど」
と脇田は言う。

「じゃあ、えーと。
 ……コンビニ弁当半分こと昨日の残りでどうですか。

 って、駄目ですね。

 お礼になってないし。
 なにか奢りましょうか?

 食べに行きますか?」

「いや、ほんとにいいよ」
と言う脇田にとりあえず、お茶だけ出すことにした。
< 34 / 383 >

この作品をシェア

pagetop