派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~
「どうぞ、何処でも座ってください」
と言うと、脇田はソファではなく、テレビの前のラグに腰を下ろす。

 部屋の中を見回し、
「なんか落ち着く部屋だね」
とぽつりと言ってきた。

「はは。
 そうですか?

 きっと、バシッと片付いてないからですよ。
 みんな、ダラッと出来るって言います」

 ふーん、と言った脇田は、
「みんなって彼氏とか友だち?」
と訊いてくる。

「……彼氏は居ませんよ。
 居るように見えますか?」

「居ないようには見えないけど」

「脇田さん、なに出しましょうか。
 いや、ケーキとかないな」
ともてなそうとすると笑い出す。

「君は意外に自己評価低いね」

「そんなことは……
 珈琲でいいですか?

 ああ、でもあんまり引き止めたら、悪いですよね。

 奥さんとかお子さんとか、お待ちですよね」

「あのさ、僕独身なんだけど……」

「そ、そうでしたね」

 だから、みんな騒いでたんだった、と思い出した。
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