派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~
「今なら大丈夫だ、来いっ!」
という殴り書き。

 ……渚さんだな、と思った。

 まあ、言われなくとも行こうとは思っていた。

 礼を言わねばならないからだ。

「大丈夫なら来て。
 お宅の上司には、浦島さんの用事を君に手伝ってもらうって言ってあるから」
といつもの柔らかい口調で脇田に言われる。

 はい、と頷くと、真知子が、何故か、小声で、
「頑張ってっ」
と言い、見送ってくれた。

 なにをですか……と思いながらも、はは、と笑顔で手を振る。

 奏汰と真知子を振り返りながら、意外にお似合いかも、と思っていると、脇田が先にエレベーターに乗り、ボタンを押してくれていた。

「あっ、すみませんっ」
と慌てて乗る。

「すみません。
 脇田さんにエレベーター開けておいていただくとか」
とかしこまると、

「いいよ。
 なに言ってんの」
と脇田は笑う。
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