派遣社員の秘め事 ~秘めるつもりはないんですが~
「渚の彼女なら、僕にも彼女だよ。
あ、違った。
僕にも友達だよ」
……凄い言い間違いですよ、今の、と思ったが、特に動じている様子もない。
この人も物言いはソフトだが、やっぱり、渚の友達だな、と思われるところもある。
そんな脇田に連れられ、社長室に行った。
木目の分厚い扉を脇田がノックすると、
「どうぞ」
といつもの軽い口調で渚の声が聞こえてきた。
「失礼します」
と脇田が扉を開け、蓮は深く頭を下げる。
渚と言えども、此処では社長様だからだ。
今風の社長室を想像していたのだが、ちゃんと昔気質のどっしりとしたデスクや調度品の揃った部屋だった。
そこに若造がひとり。
不似合いなような気もするが、大胆不敵なところがあるせいか、妙な落ち着きのある渚は、この重厚な部屋の主として、違和感がないように思えた。
脇田は蓮を中に通すと、頭を下げ、出て行ってしまう。
重い扉が閉まる音に思わず、振り返る。
ああっ、置いてかないでっ。
あ、違った。
僕にも友達だよ」
……凄い言い間違いですよ、今の、と思ったが、特に動じている様子もない。
この人も物言いはソフトだが、やっぱり、渚の友達だな、と思われるところもある。
そんな脇田に連れられ、社長室に行った。
木目の分厚い扉を脇田がノックすると、
「どうぞ」
といつもの軽い口調で渚の声が聞こえてきた。
「失礼します」
と脇田が扉を開け、蓮は深く頭を下げる。
渚と言えども、此処では社長様だからだ。
今風の社長室を想像していたのだが、ちゃんと昔気質のどっしりとしたデスクや調度品の揃った部屋だった。
そこに若造がひとり。
不似合いなような気もするが、大胆不敵なところがあるせいか、妙な落ち着きのある渚は、この重厚な部屋の主として、違和感がないように思えた。
脇田は蓮を中に通すと、頭を下げ、出て行ってしまう。
重い扉が閉まる音に思わず、振り返る。
ああっ、置いてかないでっ。