愛し、愛されたのは優しい死神でした。
…生まれて初めて見る誰よりも冷たい冷徹な目。
そして御札の様な物を猫の体に貼り付けて指を鳴らした。
その瞬間に禍々しい猫は消えてしまい―。
何ごとも無かったかの様に辺りは静まりかえった。
『…っ…あ…あのっ…っ…』
体が震えてしまって上手く声が出せずに居るとそれを察したのか優しく宥められた。
まるで子供をあやす様に柔らかい眼差しで顔を覗き込んで…本当に安心させてくれてるんだと解る程。
「大丈夫ですよ。あの動物霊に扮した霊はもう居ません。」
先程の冷たい眼差しはどこへ仕舞ったのか彼の表情は穏やかな優しい顔に戻っていた。