愛し、愛されたのは優しい死神でした。

―カチッカチッ―カッ―

懐中時計の針は中央までの時を順調に刻んでいく音が耳に響いてくる。その音が心地よくて聞き耳を立てた。

律さんや岳と一緒に住むようになって色んな事があったけど、楽しかったな…♪

『…………。』

―あ…意識が…遠くなってく…―。

律さんは私にどんな風に “ 幸せ ” にしてくれるんだろう―?

その言葉だけだったとしても、私は嬉しい。

思い残す事無いよ。律さんが導いてくれたら、それだけで満足だから―。

―たとえ律さんとこの先、二度と会えなくなったとしても貴方と過ごした優しい幸せな時間は絶対に忘れないから―。
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