愛し、愛されたのは優しい死神でした。

目の前の手に手の平を重ねようとして指が触れた時。

「―待て。」

また別の声。その落ち着いた低い声が彼と私を制した。視界が悪いながらも目を凝らすと人影がもう1つ。

「ちっ。なんだよ兄貴、邪魔すんなよ。」

私に手を差し伸べた男性が舌打ちをして、もう一人の男性と向き合う。

「あのな。いくら早くランクを上げたいからって突っ走るなっていつも言ってるだろ。」
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