グリーン・デイ





 僕はアヤカと一緒の駅で電車を降りた。僕のアパートの最寄りの駅だ。



きっとアヤカの最寄り駅はここじゃない。それは僕もわかっていた。アヤカの言っていることが手に取るようにわかるから、敢えてそれに対して聞くことはしなかった。アヤカは僕ともう少し話がしたかったのだ。僕と同じように。



 僕は改札に切符を通し、アヤカはPASMOをタッチして、改札を出た。それから駅を出て、タクシー乗り場を抜け、線路沿いの細い道を二人で縦一列になって歩いた。途中の高架橋を渡り、下を見渡すと高速道路が走っていて、車が滞りなく速いスピードで走り抜けていた。その高架橋を降りて、公園と保育所を抜けた先に僕のアパートがある。



「ここ?」



「そうだ。」と答え、玄関のドアを開けた。アヤカはブーツを右から脱いで、真っすぐ奥へ歩いた。僕は左からスニーカーを脱いでその後に続いた。



「ここ家賃いくら?」



 アヤカはもうすっかり部屋に馴染んでいて、カウンターにある椅子に座って訊いた。



「59000円。」



「59000円にしては安いのかしら、高いのかしら。」



「どうだろ。」わからなかった。



 確かに部屋は広いし、家具家電も元から備わっている。ベランダもあるのだが、日当たりが物凄く悪い。日中、電気を付けないで、やっと本が読めるほどの暗さで、身体を壊すのが先か、引っ越すのが先かと言ったところだ。大学を卒業して、就職するまでの残り1年間はとりあえずここに住むことになるだろう。




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