グリーン・デイ
アヤカは、カウンターに肘をついて、ケータイをいじっていた。いかにも退屈といった感じで、何もない殺風景な部屋で申し訳なくなった。しかしまあ僕が悪いのでもない。僕には生まれつき、物欲というものがなかったし、趣味と言えば、本を読むか、ギターを弾くか、音楽を聴くかしかない。僕は冷蔵庫を開けた。
「何か飲む?」
「スコッチ。」
「あるわけがない。」という気力もなく、僕は100%オレンジジュースをコップに注いで、「スクリュードライバーだけど。」と言ってカウンターに置いた。アヤカはなかなか手を付けようとしなかった。
「で、キミはいつまでここにいるんだ?」
カウンターに立って、目の前で相変わらずケータイをいじっているアヤカに訊いた。
「そうねえ……とりあえず、ここから学校に通って、サークルにも顔を出して……あ、でも私よく考えたらギターも弾けなければ、リコーダーや鍵盤ハーモニカもろくに弾けたことがないのよ。だってあれ自分の唾液が垂れてくることがあるでしょ? 何だか気持ち悪くて……。」
「ああ、僕にも覚えがあるよ。リコーダーの下の穴から垂れてくるんだよな。音が悪かったり……え? 今なんて言った? ここから学校に通う?」
「そうよ? いけない?」
何の迷いもないと言った風に淡々と答えた。
「つまり、それってここに住むってこと?」