心に届く歌






薬を飲むと、だいぶ息苦しさも動悸も治まってきた。

だけど眩暈と、飲んでから出てきた頭痛は変わらない。




「シエル顔色悪いぞ」


「平気……」


「お前何かの病気か?」


「ん……貧血持ちなだけ…」


「貧血ってふらっとするんじゃないのか?」


「確かにふらふらするけど……。
僕の場合は…少し重度なんだって……」




眩暈が酷くなりぎゅっと目を瞑る。

すると体がふわりと浮く感覚があった。




「えっ……な、何してるの…!?」


「保健室連れて行く。
辛いなら寝てろ」




抵抗も空しく保健室へ連れて行かれる。

ベッドに横になると、どこからか持ってきたらしい冷えピタを彼は僕の額に貼った。

額に触られたくなかったけど、拒否する間なんてなかった。



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