心に届く歌
寝るの早いなぁと思い見ていると。
ポケットに入っているスマートフォンが震えた。
携帯電話の類(たぐい)を持っていなかった僕だけど、
学校に入るためエル様が持たせてくれた。
清潔そうな白いスマートフォンに、エル様が選んでくれた青空色のカバーがかかっている。
雲ひとつない空のような色に、僕は一瞬で惹かれて好きな色になった。
慣れない画面を操作し、届いていたメールを開く。
メールの送信者はエル様だった。
エル様以外にはドクさんとプランタン国王様とイヴェール王妃様の連絡先が入っている。
思えば全員とんでもない肩書きの持ち主ばかりだ。
<シエル元気?
初めての学校で緊張してるかな?
わたしは学校行ったことないからわからないけど、
思い切り楽しんで来てね!!
ちゃんと薬も飲むんだよ!>
エル様……。
僕は嬉しくなって、慣れない手つきで返信をうち、送った。
スマートフォンをポケットに仕舞うと、
開け放たれている保健室の窓から心地良い風が入ってきて。
僕はそのまま眠りに落ちた。