心に届く歌
「……シエル?」
「ッ!!」
ビクンッと体が跳ねる。
恐る恐る見ると、彼が寝転がりながら僕を見ていた。
「大丈夫か?」
「へいっ…平気ですっ……」
「シエルー!ノンノン敬語!!」
「ヒッ!!」
いきなりテンション高く話されたものだから悲鳴が出る。
体を丸めてガタガタ震えていると、隣に彼が立った。
「シエル、大丈夫か?」
「んっ……ひゅっ……」
「ちゃんと息しろ?苦しいだろ?」
息苦しくなってきて肩で息をする。
5分ほど続けていると段々楽になって来た。
「はぁっ……教室戻ろう…?」
「大丈夫か?
もう少し休んでいた方が」
「さっき先生が来て怒られちゃって。
転入初日でサボったのがいけなかったみたい」
「そっか……。
でもしょうがねぇだろ?具合悪かったんだから」
「でも出ないとマズいから。
早く行こう」
僕は山積みになった教科書を持ち上げる。
結構な量があって腕が痛くなっていると、
彼は軽々と半分だけ持ってくれた。
「……ありがと」
「良いって。親友だろ俺ら」
親友。
いつの間に親友になったのだろうか?
僕は聞かず、笑わず何も言わなかった。