心に届く歌







教室に戻ると、誰もが自由に話していた。

話しながら皆、お弁当を食べている。




「俺らも食べるか、弁当」


「うん」




ソレイユ家お抱えシェフさんが作ってくれた、

貧血に良い鉄分が多い食材が使われた消化にも良いお弁当を取り出していると、

彼は隣の机をくっつけ座って食べ始めた。




「そういやさ、シエルってどこの家出身?
セレーネ家って聞いたことないんだけど」


「あっ……えっとね……」




僕は今朝プランタン国王様に言われた言葉を思い出す。

もし家を聞かれたらこう答えなさい、と。




「ソレイユ家に代々仕える家だよ…僕の家は。
仕える家だから、あんまり表舞台に出ないんだ」




ノール村出身だとは言えない。

彼……アンス・クザンであっても。






< 174 / 539 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop