心に届く歌
「シエルって、この家に仕えているんだって?」
「ええそうよ」
「じゃシエルのご両親にも連絡した方が良いんじゃねぇか?
息子が風邪引いたら心配だろ」
何気なく言ったつもりだった。
だってそれが俺の中での当たり前だったから。
だから……エルちゃんとドクさんが黙ったのには驚いた。
「え……?何で黙るんだよ、エルちゃん」
「…………」
「元婚約者だろ俺。
今更隠し事出来ねぇだろ」
「…………」
「エルちゃん……?
もしかしてシエル、両親いねぇのか?」
エルちゃんは首を振った。
だけど、ドクさんは何も言わなかった。