心に届く歌
「リュンヌの王子が生きていたら、そりゃすげーだろ!」
「だよなぁ……」
「いきなりどうしたんすか?坊ちゃん」
俺は執事の腕を引き、耳元に唇を寄せ、呟いた。
「見つけたんだよ、月の真珠」
「は……?」
「リュンヌの王子が持っていると言われている月の真珠。
見つけたんだよ」
「ど、どこにあったんすか!?」
「コイツのこーこ」
俺は写真のシエル・セレーネを指さし、自分の額に手を当てた。
「コイツ、シエルの額に月の真珠が隠れていたんだ」
「どうするんすか?それも言うんすか?」
「言わねぇよ。
コイツは月の真珠を公にしねぇつもりだからな」
「え?」
「公にしないソイツを……利用してやるんだよ」
俺はニヤリと笑った。
「だからな?お前の力が必要なんだ。
幅広い人脈を持つお前の力がな」
「何なりと言ってくれ坊ちゃん」
「さーすが有能な執事。
俺の目は確かだったなぁー!」
なくなった月の真珠のデザインは公にされている。
だから、簡単なんだよ。
「ぜってーエルの心は俺が奪ってやるからな……!!」