心に届く歌
☆プーセside☆
「至急、この写真を新聞社とテレビ局に送っておいて」
ソレイユ家の屋敷の近くに停めてあった車に乗り込み、中で待つよう言っておいた執事にカメラを渡す。
執事は受け取り、目を見開いた。
「へぇーえ、面白い画像だなぁ坊ちゃん」
「だろ?」
「エル・ソレイユ次期国王と……コイツって、2位の村人って奴だろ」
「そうだ」
テレビで多く特集されていた、シエル・セレーネ。
ソレイユ王国最北端の村・ノール村出身。
実の両親は亡くなり施設で育ち、養父母には虐待されながら、悪徳詐欺を働いた工場で幼くして働いていた。
経緯はわからないけどエル・ソレイユと出会い執事になった……。
まるでおとぎ話のようなアイツの人生。
「ぶっ壊してやるよ……俺の婚約者に手を出した罰でな」
「これ送っておくな」
「よろしく執事」
俺と同い年の執事。
いつも執事と呼んでいるから本名は知らない。
執事らしくない立ち振る舞いをしているけど、堅苦しいことが嫌いな俺にとっては良い執事。
俺の家に大体仕えている使用人一家の落ちこぼれって言われていたから、引き取って俺の執事にしている。
どこか俺と似たような部分があったから。
「そ~いやさ、執事、聞きたいことあるんだけど」
「何スか坊ちゃん」
「もしさ、リュンヌの王子が生きていたらどうする?」
俺と共に成長してきたから、大学にも行っているし歴史学だって知っている。
歴史学で最初に出てくる有名すぎる王国の名前に、執事は目を見開いた。