心に届く歌
「ご飯、食べよう?」
「…………はい」
そっとお粥の入ったお椀を持ち、スプーンで自分の口に運ぶ彼。
観察していると、彼は目を見開いた。
実際前髪で目元はよく見えないけど、そんな感じがした。
「…………美味しいです、すごく」
「本当?良かった」
「でも…ごめんなさい……」
お椀とスプーンを戻し、申し訳なさそうに謝る彼。
「良いよ謝らないで。
一口でも食べて感想を言えただけすごいよ」
わたしは彼の髪に触れようと手を伸ばした。
しかし彼が気がつき、いち早く彼は逃げた。
「さっ触らないでッ!!」
突然比べようもないぐらいの大声で言われ、わたしは久しぶりにびっくりした。