心に届く歌
「じゃあ教えて?あなたの名前は?」
「っ……」
「何でもするって…言ったよね?」
半ば脅迫だけど、気にしないで聞く。
彼は涙を乱暴に拭うと、呟いた。
「……シエル。…シエル・セレーネ……です」
「シエル?」
コクリと頷く彼――シエル。
「シエルね?シエル……覚えたわよ、シエル・セレーネ」
「はぃっ……」
「わたしはエル・ソレイユ。
よろしくね、シエル」
「……っ…」
始めて出来た、友達の名前。
シエル・セレーネ。
わたしは嬉しくて、何度もシエル・セレーネという名前を繰り返した。