約束のキミを。

私のせい

「じゃあ、そろそろ病室に戻りますかー」

レンが転がったボールを拾いながら言う。

「そうだね!」

私は、屋上のドアに手をかける。


あっ!!!!



視界がぐらんっと揺らいだ。


目の前には、長い階段の下がぼやけて見えた。




落ちるっ!!!






「きゃぁーーーー!ー!」














ぐいっ



強く腕を引かれた。
その反動で、私は落ちる前に尻もちをついてしまう。



え?




レンが私の腕を引っ張りあげてくれた。
でも、その反動でレンが真っ逆さまに長い長い階段を転げ落ちる。




う、ウソでしょ??



全身の血のけ引く。




     ドォーン


レンが床にたたきつけられる音と、松葉杖がカラカラと音と立てて床に転がる。





ウ…ソ……。









「レ、レン!!!!!」



慌てて、階段を駆け下りる。



「ねぇ?レン?」

レンは、ピクリとも動かない。綺麗な顔に乱れた髪がかかっている。

ウソ?嘘でしょ?



「ねぇ?レン?起きてよ?レン!ねぇちょっと、レン!レンってば!」

涙が溢れて、とまらなくなる。


私のせいだ。私のせいだ。私のせいだ。私のせいだ。


「レン返事してよ。ヤダよ。レン。レン。」


誰かの足音がした。


「おい、どうしたんだよ」

私は、涙で歪む視界で振り返ると、勝くんがいた。

「えっ…。あっ…。どど、どうしよぉー!レンが!」

私は、叫ぶ。不安と恐怖でうまく言葉が出ない。
どうしよう。

ヤダよ。

視界が真っ暗になるような気がする。


助けて。

息をするのを苦しくなる。

レン!レン!





ポンっ

頭に手が置かれる。


「おい、慌てんな、今看護師呼んでくるから。落ち着け。」


すっー。
思い切っきり、息を吸う。

落ち着け。落ち着かなきゃ。

勝くんが、看護師を呼んでくる。タンカが準備されすぐに、レントゲン室に運ばれていく。


私は、その姿を見ながら、ひたすら祈るしかなかった。




早く目を覚まして…。







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