FEEL《上》
「さっきね、女の子を助けたんだけど。」




男は困ったような笑みを浮かべ話し出す。




「残念ながら、ボコボコにしたはずの男共が逃げちゃってね。」


『甘かったんじゃねぇの?』


「そんなことはないよ。まぁ、それは置いておいて…、重要なのはこれじゃないしね。」




そこまで言ってから男は話すのをやめた。


いつの間にか音がしない。


律……?律は?


すぐに振り返ると、私の真後ろに立っていた。


不安が安堵に変わる。




「……終わった。」



『………ん。』




律は私に聞こえるぐらいの声で言った。

その声を聞いて思わず笑みが浮かぶ。




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