地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
そんな私を見た山岡主任はクスクスと笑いながら私の隣に座って肩を抱いた。
「そんな驚く事はないだろ?俺達も同じ事をするんだから……それとも止めとく?」
「えっ?」
まだテレビは付いていて『あぁっ、もっと』なんて声が聞こえる中、真顔でそう言ってくる。
戸惑いと、テレビから聞こえる女の人の喘ぎ声が私を困惑させる。
さっきは覚悟を決めた筈だったのに、処女な私は急に怖くなった。
そんな私の気持ちとは真逆に、テレビからは痛さを感じさせないほど男女か絡み合い、声が私の耳にイヤでも聞える。
「こんな事して許されない事なのはわかっている筈なのに……俺、止められそうにない」
そう言った山岡主任は私をベッドに押し倒し、キスをした。
唇から間を割って差し込まれた山岡主任の舌が、私の舌に絡まった。
どうしたらいいのかわからずに、必死で山岡主任に合わせたが、初めての大人のキスに息すらどうしていいかわからなくなる。
するとバスローブを一瞬にして脱がされた私の体が露になると、私の膨らみを彼が触ってきた。
「……っ」
体が一瞬ビクッとなる。
「感じやすいの?」
私の耳元で彼は囁く。
ち、ちがーう!
そうじゃなくて初めてだから感じるとか本当にわからない。
何だかくすぐったくて、恥ずかしくて、頭が真っ白になりそうだ。
「あ、あのっ」
「どうした?」
「実は……は、初めてなんですっ!」
「え?」
「私っ、誰とも付き合った事がなくてそのっ、処女でキスも初めてなんです……」
すると山岡主任は目を見開き動きを止めた。
「ごめん……まさか初めてとは思わなくて。だけど、俺が初めてとか嬉しいな。泣きそうな顔をしないで俺を見て?好きだ……玲美(れみ)」
そう言って山岡主任は優しくキスをした。
この時、私は彼に全てを捧げようと思った。
いけないことだってわかってるのに、気持ちの方が勝ってしまったんだ。
こうして私達の関係はこの日から始まったーーー