全力で恋したい!

「少しは落ち着いた?」

そう言って松田先生は
コーヒーをいれてくれた。

「はい。でも…、なんで松田先生が?」
「ん〜?」
「あんな時間まで残って…ってか、なんで来てくれたんですか?」
「俺じゃ不満?」
「…そんな事、ないです…」

いつもとは違う優しい声で問いかける松田先生の声が心地よい。
助けてくれたのが、松田先生で良かった。

あたしは自然とそう想ってた。

「こいつ。帰ろうとする俺を必死に引っ張るから、何か胸騒ぎしてさー」
「この子が?」
「そう。それで来てみたら心ちゃん襲われてるから」
「襲われて……」

身体が震えた。
記憶に残る恐怖と掴まれた腕の痛み。

想い出したくなくて目をつぶると
またあのにおいに包まれた。

松田先生はしっかり抱きしめてくれて、
背中を優しく撫でてくれた。

「ごめんな、想い出させた。もう忘れろ。もう俺がいるから、大丈夫」

あたしは小さく頷いた。


あたしはこの日、
松田先生を好きになった。

逃げていた恋を、
またしたいと想った。



ねぇ、
貴方を好きになっていいですか?

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