ブラッド
 三宅元警部補銃撃事件に絡んで。


 確かにG県警全体が薄曇りに包まれていた。


 先は見えない。


 伊里町が午前9時過ぎに来て、俺に声を掛けてきた。


「佐山、今から出るぞ」


「ええ、分かってます」


 応じて席を立ち、歩き出す。


 相方は駐車場に停めてあるタクシーの運転席に乗り込み、俺が助手席に滑り込んだ。


 そして伊里町が車を出す。


 朝の時間はいつものように流れていった。


 何ら変わり映えのしない街を走りながら……。


 助手席でスマホのGPSを見る。


 覆面車は街を走り抜けた。
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