ブラッド
 午前9時過ぎに伊里町が来た。


「いつも悪いな。遅くてさ」


「行きましょう。俺たち他のデカに遅れてますから」


「ああ」


 相方が頷き、屋外へと歩き出す。


 駐車場に停めてあったタクシーへと行った。


 伊里町が運転席に座り、俺も助手席へと滑り込む。


 そして相方が車を出した。


 まっすぐに街へと向かう。


 互いに息は合っていた。


 ずっとコンビを組んでいると、慣れる。


 その日は朝方幾分冷え込んでいて、ワイシャツの上から上着を一枚羽織った。


 スマホのGPSを見る。
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