幸せの形
「まったくもう、お母さんはどーしてこー引っかかりやすいんだろう。ちょっとは学習したら?お父さんウソつきだってこと」

自分の息子にさとされてしまったさつきは、いつものように良平のほっぺたを両方から軽くつまむと引っぱった。

「ナマイキを言う口はこれかな〜」

「いらい、いらい、ゴメンラサイ、ゴメンラサイ」

力関係から言って母の勝ちといった所か…

二人のやり取りを見ていた鳴海は、くすくすと笑った。

「君らはあきないねー見てて面白いよ」

母子二人は、のんきに言う父親をにらんだ。

「好きだよ、二人とも」

鳴海がそう言って笑いかけると、たちまちこの母と子は照れたように目をそらした。

「…母さん、この手にやられたんだね、なんだかちょっと気の毒な気がしてきたよ」

「分かってくれるのね良平君、うれしいわぁ」

母子は抱きしめ合うと、なぐさめ合った。





「鳴海…」

千歳はいつものように伝票を書くのを止め、キョトンとしている鳴海に向き合った。

鳴海がエプロンをイスにかけ、いつものセリフを言おうとした、一瞬前のことだった。
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