あなたにspark joy
話しかけられていたのをすっかり忘れていた。

「お気遣いありがとうございます。このワイン美味しいですね。お肉も最高」

フワリと微笑んで有賀さんを見上げると、彼はホッとしたように顔をほころばせた。

「良かった」

……よくないわ。

その時、ドアが静かに開き、一人の男性が姿を現した。

「慶太おせえよっ」

佐田君に慶太と呼ばれた男性が部屋を見回して少し頭を下げた。

「悪い、トラブル発生で」

低くて静かな声で彼がそう言うと、

「いいから座れよ」

有賀さんに促され、慶太とやらは私の真正面に腰を下ろした。

途端にバチッと眼が合う。

長身のわりに座るとそれを感じさせないのは、足が長い証拠なのか。

中高で品の良い顔立ちが、かなり眼を引く。

切り込んだような二重の眼や、清潔そうな口元、男らしい首から肩にかけてのラインがなんとも男の色気を感じさせる。

「慶太、自己紹介しろ!」

佐田君がそう言うと、慶太とやらはニコリともせずに頭を下げた。
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