あなたにspark joy
「篠宮慶太です。遅れてすみません」

有賀さんが呆れたように笑った。

「それだけ?慶太らしいけど」

瞳が私の方に身体を傾けて少し仰け反ると、耳元で呟いた。

「超絶イケメン。良かったね」

全然よくない!

確かに慶太……篠宮慶太はとても綺麗な顔立ちをしている。

けど許せない。

なんで?

どうして一時間も遅れてくるの?

そして、どうして作業服?!

そう、篠宮慶太は、この大人的ムーディな空間にまるでそぐわない出で立ちでやって来たのだ。

……上半身は白いTシャツ、下は薄いグレーのストレートパンツ。

どこからどう見ても作業服だ。

なに?配送業?清掃員?それともどこかの会社の一従業員?建築関係の職人?

私の視線を感じてか、彼が再び私を見た。

それも真っ直ぐ。

有賀さんはそんな篠宮慶太の様子に何を勘違いしたのか、

「慶太!園田さんが美人だからって見つめすぎだろ。遅れてきた分、ちゃんと話せよ」
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