あなたにspark joy
****

「可愛いシーラカンスだね」

篠宮さんがクスッと笑って玄関に嫌々置いている水槽を見つめた。

「兄が急に海外勤務になっちゃって」

「知ってる?」

「何を?」

私が篠宮さんを振り仰ぐと、彼はニヤニヤしながら先を続けた。

「今は20センチ弱くらいだけど……アロワナって、めちゃくちゃ大きくなるんだよ」

えっ?!

怖いこと言わないで欲しい。

「私、アロワナの生体に詳しくないので分からないんですけど、この大きさがMAXじゃないんですか?」

「俺の友達の家には50センチのアロワナがいるよ」

「……マジで?!」

「うん」

クソッ、あのアホ(兄)め。

「……要ります?」

「は?」

「このアロワナ、篠宮さんさえよかったら貰ってくれたら嬉しいなー、なんて」

「いや、お兄さんのアロワナなんだろ?」

……そうなんだけれども。

ほんと、呪ってやりたい。
< 69 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop