一寸の喪女にも五分の愛嬌を
 私は家庭に向かない女だとの烙印を押した彼は、「今すぐにでも彼女と一緒になりたいけれど、いつ薫に別れを言えばいいのか二人で迷っていた」なんて、人を馬鹿にしたことを平然と並べ立てていたくせに。

 彼女は私だったはずなのに、いつの間にか二人の恋路を邪魔する要らない存在に転落していたとも全く気がつかなかった自分を深く恥じた。

 宗一郎とはもう六年の付き合いになっていたから、お互いに結婚を前提に親への挨拶も済ませていた。

 プラスとマイナスで二人は上手く調和が取れていたはずだった。それは間違いない。


 けれど二十五歳の誕生日を過ぎた頃、私は気がついてしまったのだ。


 宗一郎が私の部屋にスマホ忘れた時、すぐに連絡をしようと手にしてふいに違和感を覚えた。

 あれが女の勘だろうか。手のひらから何かイヤなオーラをかんじたのだ。


 とてもとても迷った末に着信履歴を見て驚いた。

 私の親友の橘綾乃から毎日着信があったのだ。


 ただ驚く同時に、綾乃を既に紹介していた私は、お互いに連絡を取り合うようになっているんだな、くらいの軽い気持ちだった。

 けれどすぐにその思いは打ち砕かれる。
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