一寸の喪女にも五分の愛嬌を
どれくらいの時間が過ぎたのかわからない。
私はむりやり成瀬の腕の中から抜け出そうと身じろぎをする。
すぐに成瀬は離さないとばかりに力を込めたから、私はまた成瀬に強く抱きしめられた。
「先輩……今日も泊まってもいい?」
いきなりこんな体勢のまま甘えた声を出すなんてずるい。
(この男は……)
呆れた溜息が出てしまう。
どれほど自分の価値、女の扱い方、タイミングを熟知しているのだろうか。
憎らしいことだ。
絶対にこいつにほだされたりしない。
意識してしまったりなんかしない。
私には王子様だって武将だって、どんな人とだって恋ができるのだ。
こんな女の扱いに慣れたリアルの男になど心揺らしたりしない。
それなのに……
「ま……どうしてもって言うなら……いいけど。ただし変なことしないでよ」
そんな返事をしてしまった。
私の返事に一瞬だけ息を止めた後、すぐにぎゅうっと腕に力を込める。
「わあ、マジで嬉しい。言ってよかった」
「喜ぶな。絶対に変なことを――」
「しないしない。だって先輩に嫌われたくないし、軽率なことして先輩を傷つけたくない」
チリリと感情の底が燃やされるような痛みを感じた。
私はむりやり成瀬の腕の中から抜け出そうと身じろぎをする。
すぐに成瀬は離さないとばかりに力を込めたから、私はまた成瀬に強く抱きしめられた。
「先輩……今日も泊まってもいい?」
いきなりこんな体勢のまま甘えた声を出すなんてずるい。
(この男は……)
呆れた溜息が出てしまう。
どれほど自分の価値、女の扱い方、タイミングを熟知しているのだろうか。
憎らしいことだ。
絶対にこいつにほだされたりしない。
意識してしまったりなんかしない。
私には王子様だって武将だって、どんな人とだって恋ができるのだ。
こんな女の扱いに慣れたリアルの男になど心揺らしたりしない。
それなのに……
「ま……どうしてもって言うなら……いいけど。ただし変なことしないでよ」
そんな返事をしてしまった。
私の返事に一瞬だけ息を止めた後、すぐにぎゅうっと腕に力を込める。
「わあ、マジで嬉しい。言ってよかった」
「喜ぶな。絶対に変なことを――」
「しないしない。だって先輩に嫌われたくないし、軽率なことして先輩を傷つけたくない」
チリリと感情の底が燃やされるような痛みを感じた。