一寸の喪女にも五分の愛嬌を
「だから、次から一緒に食事するときは、割り勘か交互に持ち回りでいきましょうね」

 さりげなく言えたつもりだが、成瀬にとってはどう聞こえただろう。


 ――また一緒に食事をしたい……。


 私の中にはその気持ちが大きくある。

 成瀬と過ごす時間は楽しい。

 けれど成瀬にとって私は気を遣う相手だろう。

 会社の先輩でゲーム喪女。しかも外面猫かぶりのお局間近の女だ。

 反対の立場になって考えれば、会社の先輩、さらにオタクの外面だけがいいおっさん。

(……ない、ないわ)

 絶対にイヤだ。

 自分のことを棚に上げて申し訳ないが、考えただけで寒気がする。


「それって……一緒に食事に行こうってこと?」

 成瀬がぽつりと言った時、ちょうど私はそんなことを想像していたので、誤解してしまった。

「いや、無理! おっさんはないわ。おっさんとは行きたくないわ!」

「え?」

「え?」

 お互いにきょとんとして、二人の間に沈黙が落ちる。

 それから成瀬がおずおずと尋ねた。
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