ノラネコだって、夢くらいみる
「鈴」

「いちる……」

 いちるにも、報告はしていた。今日学校で起きたことを。

 逢阪に送ったみたいな事細かな説明ではないけれど、こんな写真と文面が張り出されていて、それをしたのはモモだということを端的に連絡していた。

「こっち、おいで」

 いちるに手を引かれ、寝室に案内される。ここに入ったのは初めてだ。

 いちるの寝室は白を貴重としたモノが並んでいて、お洒落なランプがその部屋をほんのりオレンジ色に灯す。

 そこでようやくTシャツを着てくれたので、やっと彼のことをまともに見ることができた。

「思ったより元気そう」

「え?」

「……社長のおかげ?」

 そう言って、いちるは私を優しく抱きしめた。 

「い、いちる……?」

「ごめんね。僕があんな場所で鈴にうかつに声をかけて、2人きりになったりしたから」

「そんなことないっ……」

「鈴が傷つけられたのは、僕のせいだ」

「謝らないで……ってか、離れて!」

 そう言うと、いちるが私から離れる。いちるから顔をそむけた私の目に飛び込んできた、デスクトップPCの画面。そこに映し出されているのは、いちるのTwitterページ。

「…………!」

 避けてきた、Twitter。通知もスルーしていた。

 そこに悪いことが書かれている気がしたから。


 でも、もう目を背けない。


___いちる、RINとデートしたの?

___付き合ってるの?

___彼女いないって言ってたよね?

 そういったコメントが無数にきている。学校に張り出されていた、モモの作ったはり紙と写真が添付されているものまである。

 ……もう、いちるのファンの子に知れ渡ってしまったんだ。
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