ノラネコだって、夢くらいみる
「うちの学校の子が流したのかな…」

「みたいだね。鈴の学校名、出ちゃってる」

「……ってことは、私のページにも、もしかしたらコメントとかきてるかな……きてるよね?」

 そう言って、自分のスマホを取り出そうとしたその時___私の手に、いちるの手が添えられた。

「鈴、まだ見てないの?」

「うん。ごめん……。急いで確認する」

「なら、見なくていい」

「え………」

 もしかして、この添えられた手は、スマホをこれ以上見るなっていう、そういう意味?

「………」

 いちる、優しすぎるよ。その優しさに甘えて現実逃避してる場合じゃないよね……。

 いちるの言葉を無視して、いちるの手をそっと振りほどいて、私は自分のTwitterページを開ける。

 そこには……

 私の本名だったり、学校の写真だったり、学内で私がお弁当を一人で食べている写真なんかがあがっていて。

___友達いないってどんな気分?

___同じ学校にも彼氏いるの?

___いちると他の男と二股とか最低

 それから、いちるから離れろだとか。天使より悪魔の方がピッタリだとか。ブスとかキモいとかいう小学生レベルの誹謗中傷コメントが続々ときていて、それらがどんどん拡散されている。

___RIN子供堕ろしたってマジ?

 そんな、わけのわからないものまで。

「…………なにこれ」

 あんな写真が広まれば、荒れるとは思っていたけど。根も葉もない噂、こんなにも広がってるの?
< 127 / 212 >

この作品をシェア

pagetop