ノラネコだって、夢くらいみる
___私の、写真集ですか?

 話をもらった時は、とても驚いた。写真集というのは私の中で、その名の通り、写真だらけの本。それも、勝手な妄想というか、偏見で申し訳ないけれど、胸の大きな人が、露出多めの格好(主に水着)で撮影に挑んでいるイメージがあったから。

 だけど話を聞くと、〝手にとってもらえればRINのことをわかってもらえる、中身のギュッとつまった1冊〟というコンセプトのものだった。

 撮影は1日では終わらず、中に載せる記事を作るのは思ったより時間がかかった。自分の本が出るなんてなんともいえない気分だったけど、完成本を手にとってページを確認した時はすごく達成感があったし、それを読んだよって感想をもらえたりすると、本当に励みになった。

 一番この仕事をしていて嬉しく感じる瞬間、といっても過言ではないのは、『RINを見てファッションに興味がわいて楽しくなった』だとか、『化粧を真似してみてます。前より自信がつきました』とか、自分が誰かの役に立てているのだなと実感できるようなファンレターなりTwitterコメントをもらった時だ。

 大げさかもしれないけれど、自分が必要とされている実感をひしひしと感じることができた。

 元引きこもりからすると、とにかくやることや考えることがあって、1日があっという間にすぎていき。

 どこにいても誰かの目を気にする毎日は、気疲れだってする。

 だけど私は、この仕事が好きだ。
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