ノラネコだって、夢くらいみる
 大地に言われ、数十メートル先の校門に視線をうつす。

 そこには人だかりができている。

 10人……いや、もっといる。その大半が、女子生徒。

「なんだろう、あれ」

 みんなで誰かを取り囲んでいるみたい。

 生徒たちの中心にいたのは、黒シャツの男。

 取り囲まれて尚、少し離れたこの場所からその姿をハッキリと視認できるのだから、その人物がかなり長身だとわかる。

 サングラスをかけていて、Gackt張りのオーラが出ている。

 ん?

 ……ちょっと待って……

「鈴?」

 私は、咄嗟(とっさ)に大地の後ろに隠れた。

「大地、しばらく壁になって」

「え?壁……?」

「いいから。私を隠して」

 だけど、もう、手遅れだった。

 グラサン男は私に気づいた様子で、こっちに向かって歩いてくる。

 スラリと長い足で、一歩一歩、ゆっくりと。


 く………来るなっ……!!
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