ノラネコだって、夢くらいみる
 ……ほら、目と鼻の先で同じようなことしてる連中がいる。カモになるものか。

「私のパパ、刑事でとっても厳しいんだけど。許してくれるかな。お兄さん、パパを説得してくれる?」

「え?...お父さん刑事なの?んんー、ちょっと用事思い出した。またね」

 そういうと、男は行ってしまった。去り行く男の背中を見ながら舌を出してやる。


「ざまあみろって顔してる」

___?

 やや右前方からこちらを見て笑っている男がいた。年は、20半ばくらいだろうか。

 派手な柄物のシャツを着て、黒いハットをかぶり、黒いパンツを履いている。

 長身、細身、おまけに小顔。黒縁(くろぶち)眼鏡が妙に似合う。

 ……今のやり取り、見られてたのかな。


「お前、黒猫みたいなやつだな」
< 4 / 212 >

この作品をシェア

pagetop