ノラネコだって、夢くらいみる
___黒猫?

 猫は好き。ステショは猫柄で揃えているし、部屋にあるクッションだってそう。


「真っ黒な髪に、つり気味の目」


 褒められているの?貶(けな)されているの?

 私は、男を無視して歩き出す。

 するとなぜか、男は私と並んで歩く。


「ほっそりしてて、ツンツンしてる」


 ちょっと。ジロジロ見ないでよ。

 ……顔はめちゃめちゃカッコいいけど、変なやつ。


「俺に飼われてみない?」


 !?

 …………飼う?それとも……買う?

 いずれにせよ、そんなことを言ってくるんなんてこの男………ヤバい。


___〝絶対に関わってはいけない〟

 そう直感が働いて、私は口を閉ざした。だけどそいつは私の側から離れる気はないらしい。

 私のペースに合わせてゆっくりと歩く。さっきの男みたいに近づいては来ない。


「警戒心が強いんだな?まるで、仔猫みたいだ」
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