アナタの過ち


それから数ヶ月後。

「俺と付き合ってほしい」


車の中で言われたその言葉に、私は動揺を隠せなかった。

何も答えられない。

「ダメ?」

『ダメじゃ、ないけど…』

「けど?」

無理だよ、直哉と付き合うのは無理。
この人は、私のこと何も知らない。

どうせ捨てられる。

隠して付き合えるほど、私は大人じゃない。


『何が…何がいいの?私の』

1番困る質問だと思う。
でも素直な気持ちだった。


「お前は大人だと思う」

答えになってない言葉が返ってくる。

『私はまだまだ子供だよ』

「考え方とかさ。しっかりしてると思うんだよね」

『…』

昔からよく言われてきた言葉だけど、私は信じられない。

そして、記憶が蘇る。

あの日の。





< 132 / 147 >

この作品をシェア

pagetop