アナタの過ち


「よし、これで泊まれるな!」

亮は、さっきの状況からは考えられないような笑顔だ。

その言葉に、私は苦笑いで顔を向ける。

なに、この展開。
いつ抜けだそう…。


「風呂入ってくるから待ってろな」

『うん…』

「帰るなよ」

亮は私を軽く睨みつける。

『うん』

私の返事をしっかり聞いたあと、部屋から出て行った。

『本当、私何してるんだろ…』

気が抜けて、俯いたまま床を見つめていた。

あ…。風呂…。


そうだ…。
あいつは風呂に行ったんだ。
チャンスは今しかない。

たぶん、まだ行ってから5分も経ってない。

私はドアを静かに開けて廊下を確認した。

下のどこにお風呂場があるかわかんないから慎重に動かなきゃ。

バックを手に取り、ゆっくりと部屋を出る。

階段には洗濯物や本など色々な物が散乱している。

一応端にまとめてあるけど、足場はだいぶ取られている。

それら障害物を丁寧に避けて、無事に玄関に到着した。

幸い、風呂場は奥の方にある。


出れる…!

靴を履こうとしたその時。

「なにやってんだよ」

え?嘘、嘘だよ。
突然の後ろからの声に動揺を隠せない。

額には汗。

「おい、聞いてんだろ」

怒りに満ちてるのか、亮の声はさっきより低い。

刺されたみたいに、背中が痛い。

私…どうなるの?


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