モテ子☆モテ男の恋愛事情。
はぁ…と、思わず出てしまった溜息。
櫻井たちのプレイをボーっと眺めて。
やっぱ上手いわ、一緒にやりてえな、なんて独り言を呟く始末。
「……ここ、座ってもいいですか?」
不意に右隣から聞こえてきた柔らかな声に、バッと音が出そうな勢いで振り向いた。
「あ、…ダメなら、いいです」
「えっ…?」
相当怖い顔でもしていたのだろうか。
目の前にはどこか怯えるようにして立つ神崎ゆずの姿があって。
胸の前で両手をギュッと握り締め、少し俯き加減で立っていた。
「あ、どうぞ。うん、座って」
慌てて笑顔を作ったところで、上手く出来たとは思わない。
きっとぎこちない引きつった笑顔を彼女に向けていることだろう。
それでも、彼女は小さな声で『ありがとう』と呟くと。
ベンチの隅のほうにちょこんと座った。
彼女から、俺に接近してくるとは思ってもみなくて。
平気なフリしてバスケを見ている内心は、心臓がありえないほどバクバクいってる。
公園を吹きぬける風が、彼女の甘い香りを運んでくるから。
余計に緊張を煽っているのかもしれない。