モテ子☆モテ男の恋愛事情。
「今日は見てるだけで良いかな。でも、今度また参加させてもらってもいい?」
「フフ、それあたしに許可とらなくて大丈夫だと思うよ? みんな自由参加だし、きっと速水くんがバスケに加わってくれたらみんな喜ぶと思うよ」
「それ、神崎さんも?」
「…そうだね。でも、それはちょっと……恥ずかしいかも」
少し視線を落として、柔らかな笑みを浮かべる彼女の横顔はとても綺麗で。
思わず魅入ってしまうくらい。
その表情の中に、さっきの憂いを帯びた表情はもう隠されていなかった。
「恥ずかしい…って?」
その言葉に、ほんの少し期待してしまいそうになる。
もちろん、彼女にその言葉に深い意味なんてないことくらい重々承知だ。
「…あたし、そんなにバスケ上手くないから」
「さっき少し見たけど、そんなことなかったよ?」
「それ、泰くんのパスが上手いだけ。いつもならシュートすら打てないもん」
「じゃあ、今度は俺が神崎さんをアシストしてあげるよ」
「隼人の盾になってくれる?」
「もちろん」
ウンウン、と大袈裟なくらいに頷く俺を見て。
嬉しそうに微笑んでくれる。
まだ、きっと素の神崎ゆずではないかもしれないけど。
少しだけ彼女に近づけたような気がして嬉しかった。