Another moonlight
「アユちゃん、オレ、学校の先生に向いてると思う?」

「どうだろうね?向いてなくはないかも。急にどうしたの?」

「学校の先生に向いてるんじゃないかって言われたんだ。ホントになっちゃおうかなって思ったけど、校内禁煙だからやっぱやめた。」

さっき会って一緒に飲んでいた友達とそんな話をしていたのだろう。

よほど楽しかったのか、トモキは上機嫌だ。

「トモは頭いいから向いてるかもねぇ…。生徒と一緒になってバカやって、先生に叱られてそうだけど…。」

「あー、それは有り得るな。今度会ったら、ユキにそう言われたって言っとこ。」

ユキはやけに楽しそうなトモキを見ながらタバコに火をつけた。

「誰に?」

「ん?アキだよ。さっきまで一緒にいたから。」

「えっ?!」

アキラの名前を聞いて動揺しているユキを、トモキはニヤニヤしながら見ている。

「まぁ…もういい歳した大人なんだし、あんまりゴチャゴチャ口はさむ気はねぇけどな。とっとと仲直りしろよ。アキ、めちゃくちゃヘコんでたぞ。」

「仲直りしろって言われても…。一方的に絶交されたんだけど。」

ユキがボソボソと答えると、トモキはたまらず声をあげて笑い出した。

「超ウケる!!絶交ってオマエら小学生かよ!」

「トモ…マジで性格変わったな…。昔はかわいかったのに…。」

「なんとでも言え。オマエらホント素直じゃねぇなぁ…。そういうところが似た者同士で相思相愛なんだよ。」

「は?似た者同士はともかく、相思相愛ってなんだよ!!」

< 102 / 220 >

この作品をシェア

pagetop