Another moonlight
「別にぃ。アキも意地になってんだろ。寂しいなら寂しいって、ユキの方から素直に言ってやれよ。」

「口が裂けても言わねぇわ、バカ!!」

「ホラな。言うことまで一緒。やっぱ似た者同士だよ。」

トモキとユキの、中学生の悪ガキのようなやり取りを聞きながら、アユミは呆れた様子でため息をついた。

「もう…トモくん、火に油を注ぐようなことしちゃダメでしょ?せっかく私がゆっくり説得したのに…。」

「あ、ごめん。そうなんだ。でもこいつら考え出すときりがねぇから。答が出る前にあの世に行っちゃうかも。」

「うん、まぁ…なんとなくわかるけど…。」

アユミは納得した様子でうなずいた。

「ひどっ!アユまでそんなこと言うか!」

「ユキちゃん、取り返しがつかなくなる前になんとかしないといけないこと、世の中にはいっぱいあるよ。ユキちゃんにもあるでしょ?」

「まぁ…そうなんだけど…。」

こんなふうにアユミに言われると、ユキはまるで先生に諭されている子供みたいな気分になる。

「とりあえず、早いとこ彼氏にハッキリと返事した方がいいと思う。あと、ケンカしたら仲直りは早めにしとかないと、どんどん気まずくなるよ。」

「はい…。」

(って…私は生徒か…?こんな正論でこられたら、もうぐうの音も出ない…。)




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