Another moonlight
結局ユキは、あれ以来アキラには連絡をしていない。

アキラがそばにいないと寂しいとか本当は一緒にいたいとか、アキラの気持ちには気付かなかったのに、今更そんなことを言うのは自分勝手だとユキは思う。

アキラにはカンナがいる。

自分にはタカヒコがいる。

だからもう、アキラには会わない方がいい。

いつかは壊れてしまう関係なら、もう修復しない方がいいに決まっている。

こんな寂しい思いをするのは一度きりでじゅうぶんだ。

散々迷ったけれど、ユキはタカヒコと結婚することを決心した。

サロンのことは気にかかるけれど、ミナになら安心して任せられる。

ユキは、優しいタカヒコなら胸にポッカリと穴の空いたような寂しさを埋めてくれるはずだと思うことにした。



その日の夜、ユキはマナブのバーでタカヒコと会っていた。

軽い食事をした後、ユキはお酒を飲みながらタカヒコが見つけてきた物件の見取図を眺めていた。

「それで…そろそろ決めてくれた?」

「……。」


結婚すると返事をしようと思うのに、その言葉はユキの喉の奥に貼り付いたようになかなか出てこない。

「オレは早くアユミと一緒になりたい。この物件だって、早く決めないと誰かに先を越されてしまうよ。今は不動産屋にお願いして少し返事を待ってもらってるんだ。」

ユキは自分の知らない間にそこまで話が進んでいることに驚いた。

結婚はともかく、この物件に関してはずいぶん急かすなとほんの少し怪訝に思う。

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