Another moonlight
どんなに頑張ったところで、カンナも、他の誰だってユキの代わりにはなれない。

だからもうこれ以上、自分勝手にカンナをユキの身代わりにして傷付けるわけにはいかない。

「バカ言うなよ…カンナはカンナだろ?」

「アキくんは私を捨ててあの人のところに行くつもりなんでしょ?そんなの絶対イヤ!!耐えられない…!あの人にアキくんを取られるくらいなら、いっそ死んだ方がまし…。」

アキラはカンナの思い詰めた眼差しに、全身に鳥肌が立つほどの恐怖を感じた。

「バカ!死ぬとか簡単に言うな!!」

「だったらあの人じゃなくて、ちゃんと私を見てよ!アキくんのことが好きな私を!!私だけを見て好きだって言って!!」

狂ったように泣き叫ぶカンナをなんとかなだめようと、アキラはカンナの背中をさすった。

「カンナ、落ち着け。」

「捨てないで…。アキくんがいないと…生きていけない…。」

「カンナ…。」

「アキくんが好き…別れたくない…。」

カンナはアキラの腕にしがみついて泣きじゃくっている。

アキラはカンナの涙がポトリポトリとこぼれ落ちて床を濡らすのをじっと眺めながら、昨日トモキからかかってきた電話を思い出していた。


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