Another moonlight
「ホノカはなんとなくわかるけど、エリコさんは?なんで結婚したくなくなったの?」

ユキがなんとなく尋ねると、エリコは苦々しい顔をしてタバコに火をつけた。

「周りがどんどん結婚してく頃ってあるじゃない?自分だけが取り残されちゃう気がして焦る時期。」

「あー、うん…わかる…。」

まさしく今の自分だ。

ユキは少しばつの悪そうな顔で白ワインを飲んだ。

「私は30歳の頃がそれ。めちゃくちゃ焦って、とにかく結婚したくて必死だったんだけど…。そういうのって、自分が言わなくても周りにはわかるみたいなんだよね。」

「へぇ…。」

もしかしたら自分もそうなのかもと思うと、ユキはなんとなく恥ずかしい気がした。

「結婚したいオーラ全開だと、変な男が寄ってくるんだわ。」

「変な男って…ヒモみたいな?」

ホノカが尋ねると、エリコはタバコの煙を吐き出して、首を横に振った。

「ヒモじゃなくて、サギよ。結婚詐欺。」

「結婚詐欺…?」

ドラマや小説なんかではよくある話だけど、実際にそんなことがあるんだと、ユキは不思議な気持ちでその話を聞いていた。

「エリコさん、詐欺被害にあったの?」

「いや、私はなんとか逃れたよ。もう少しで完全に騙されるとこだったんだけどね。こいつは怪しいって幼馴染みが止めてくれたから。彼のおかげで、ギリギリのところでやっと、やっぱりおかしいって自分でも気付いた。」

「何がおかしかったの?」

ホノカはグラスに残った白ワインを飲み干して店員を呼び止め、新しいボトルを注文した。

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